自分の悩みを正しく理解していますか?【ストレス社会を生き抜くあなたへ】

くらしの心理学
コロ
コロ

最近、なんとなくストレスが溜まって疲れてきてるニャ

友達ともうまくいっていない気がするし、仕事も捗らないのニャ。
体調も悪いしどうしたらいいのかニャ

サイコロ
サイコロ

今の日本はストレス社会って言われてるけど、ストレスは放っておくと大変だよ。

今の状態を改善するには、何よりもまず、「自分の一番の悩み」が何か考えてみよう!

この記事はこんな人向けです!
  • なんとなくストレスが溜まっている人
  • 落ち込みやすい人
  • いま悩み事がある人

今回は、自分の悩みを正しく知る方法について勉強していきます。

後でも説明しますが、ストレスが溜まっている時や落ち込んでいる時には、自分が今いる状況を正しくみることができなくなっています。
その結果、誤った判断をしてしまったり、自分のことを責めてしまったり、より一層落ち込んでしまうことが多々あります。

そんな時に一番大切なのは、何よりも自分が何に悩んでいるのかをきちんと理解すること!

それでは今日も勉強していきましょう!

なお、この記事は問題解決療法という心理療法の一種を参考にしています。
問題解決療法について詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ

なぜ自分の悩みを知ることが大切なのか

ストレスに支配されると冷静な判断ができなくなる

ストレスがかかっている時や落ち込んでしまうような時は、いくつかの問題が同時に発生して、がんじがらめになってしまうことが多いです

まずは、下の例を見てください。

大学生Aさんの例

大学生のAさんは、授業や部活、アルバイトに大忙しの充実した日々を送っています。

期末試験を翌日にひかえたある日、アルバイト先のレストランから「人数が足りないから急遽シフトに入って欲しい」との依頼がありました。Aさんは試験勉強をしないといけないのはわかっているのに、依頼を断ることができずアルバイトに向かい、その結果翌日の試験に不合格となってしまいました。

試験に不合格となったAさんは再試験を受ける必要がありましたが、よりによって再試験が、所属しているサッカー部の大事な大会当日でした
Aさんは、大切な試合に出ることのできなかった自分を他の部員は非難しているのではないかと思ってしまい、次第に部活から距離を置くようになりました。

アルバイト先でも、ぼーっとすることが多くなり、お皿を割ったり注文を忘れたり、先輩に叱られてしまうことが増えてしまいました。

Aさんは、もっと計画的に勉強していればこんなことにはならなかったはずだと自分を責め始めました。また、「自分にはいろんなことを同時にこなす能力がない」と考え、今回と同じような失敗を繰り返さないように、部活とアルバイトを一度辞めることにしました。

部活とアルバイトを辞めたAさんは、日々の生活に充実感を感じなくなり、落ち込んでしまいました。

この例では、大学の授業と部活の人間関係、忙しいアルバイトという3つの要因が折り重なって、Aさんを苦しめていました。

このように、ストレスや悩みの背後には複数の要因が存在しているので、簡単には解決できません。

何よりも、正しく問題を理解することが必要なのです。

またこの例では、Aさんは失敗を重ねた結果、「自分には能力がない」とネガティブ思考になってしまい、そのことが余計にAさんを苦しめてしまいました。
そして、部活とアルバイトをやめるという判断になってしまいました。

ストレスに巻き込まれてしまうと、冷静な判断ができなくなってしまうのです。

悩みを理解することでゴールが見えてくる

自分の悩みを正しく理解すると、どうやって解決すればよいかが見えてきます。

旅行を計画する時は、まず「どこに行こうか」を考えますよね。
行き当たりばったりの旅行を楽しむ人でも大まかな行き先は決めてから動き出すと思います。

目的地が決まってからようやく、交通手段はどうするか等、目的地までの具体的な手段を検討し始めます。逆に、目的地が決まらないのに、交通手段を検討しても全く意味がないのです。

先程の例の続きを見てみましょう。

大学生Aさんのその後

部活とアルバイトを辞めてしまったAさんは時間に余裕ができたので、これで試験に落ちるなんて失敗は繰り返さないだろうと思いました。

しかし、結局授業には集中できず、なんとか試験には合格したものの、忙しかった頃の方が余裕を持って勉強できていることに気づきました。

一度に複数のことを同時にこなせないと思って、部活とアルバイトを辞めたのに、これでは元も子もありません。

そこでAさんは一度立ち止まって、今回の一件を振り返ってみました。
Aさんは、試験に落ちてしまったことと部活にいづらくなってしまったことから、過度に自分に対してネガティブになり、「自分の能力がない」と誤った見方をしてしまったと気づきました。

さらに冷静に考えてみると、試験前日にアルバイトを断れなかったことが全ての原因であり、「できないことしっかりと断る」ことができるようになれば、今後も同じ過ちを繰り返さないことに気づきました。

上の例では、Aさんは失敗を経てネガティブに考えるようになってしまったため、「自分の能力がない」と自分のことを否定するようになってしまいました。

しかし、現実を正しく見てみると、もとはといえば、「試験前にアルバイトを断ることができなかった」ことが原因であると分かりました。そして、いざ原因が判明すると、「できないことはしっかり断る練習をする」というように解決方法が見えてきました。

このように、自分が何に悩んでいるかを正しく理解することで解決までの糸口が見えてくるのです。

それでは、次からは具体的に自分の悩み・ストレスの原因を理解するためのポイントを紹介していきます。

正しく自分の悩みを理解しよう

自分の悩み・ストレスの原因を理解するためのポイントを紹介していきます。

5W1Hを利用して言葉にしてみる

まず、自分が何に悩んでいるかを試しに言葉にしてみましょう。
頭の中で考えていることでも、ノートに書いたり声に出したり、改めて言葉にしてあげることで見えてくるものもあります。

言語化する上でのポイントは、5W1Hを活用することです。

自分の悩みを言語化する
  • いつその問題に悩まされますか?(When)
  • どこでその問題に悩まされますか?(Where)
  • 誰がその問題に関わっていますか?(Who)
  • 何が起こっていますか?(What)
  • なぜその問題は起こっていますか?(Why)
  • どのようにあなたは反応しますか?(How)

自分の意見と事実を切り離して考える

さて、自分の悩みを言葉にできたでしょうか?

言葉にすることで見えてくるものもありますが、もう少しポイントを紹介します。

次に大切なことは、「自分の意見」と「事実」を混同しないことです。

えてして、ストレスが溜まっている時や悩んでいる時は、事実に対してネガティブな考え方をしてしまっています。

たとえば、「上司が、眉間に皺を寄せて少し俯いている」と言うのは事実ですが、それを受けて「私に対して怒っている」と言うのは意見です。
上司は、疲れているだけかもしれませんし、仮に怒っているとしても私ではなく、他の誰かに対して怒っている可能性もあります。

このように、事実に対して自分なりの意見を挟んでしまうと、余計に悩んでしまうのです。

探偵になった気分で事実に目を向けてみましょう。

できるだけ曖昧な言葉を使わない

少し細かいテクニックになりますが、「曖昧な言葉を使わない」と言うのも効果的です。

人間は感情的になったり、落ち込んだりしている時は、曖昧で漠然とした言葉を使いがちです。

曖昧な言葉を使っていると、冷静にストレスの原因を見ることができないだけでなく、不必要に落ち込んでしまう可能性があります。

できるだけ曖昧な言葉を使わない

会社員のCさんは、仕事の資料作りでちょっとしたミスをしてしまい上司に怒られてしまいました。

上司に怒られてしまったことに加えて、ミスをしてしまった自分を責めた結果、「自分はいっつも失敗ばっかりしている。ダメな人間だな。」と落ち込んでしまいました。

しかし事実をよく観察すると、Cさんは資料作りは苦手だけど、営業成績はいい方で、お客さんと良好な人間関係を築く点においては、職場から一目置かれていることに気づきました。

そこで、Cさんは自分の考えを改め、「自分は資料作りにおいては失敗することもある。細かい作業が苦手な人間なんだな。」と自分の短所を冷静に分析することができ、細かいミスをしない対策を考えようと、前向きになることができました。

いき過ぎたネガティブ思考や極端な考えをしていないかチェックする

悩んでいる時やストレスが溜まっている時というのは必要以上に悲観的になったり自分を責めたりしやすい傾向にあります。

人はそれぞれ考え方のクセを持っていて、その中にはストレスに結びつきやすいネガティブな思考があります。ネガティブな考え方では、より一層ストレスが溜まりやすくなってしまいます。

自分が過度にネガティブな考え方をしていないかを確かめてみましょう。

たとえば、「失敗を全て自分のせい」だと思ったり、「周囲の人が自分を責めている」と思ったり、自分を否定的に捉える見方をしていないか確かめてみましょう。

ストレスになりやすいネガティブ思考については以前に記事を書いているので、詳細を知りたい方はぜひこちらも参考にしてください。

まとめ

今回は、自分の悩みやストレスの種を正しく理解する方法を紹介してきました。

悩みやストレスの種に対処するにはまず、問題を正しく理解することが必要です。
そうすることで初めて、その問題の対処方法が見えてくるのです。

自分の悩みを正しく理解するために
  • 5W1Hを利用して言葉にしてみる
  • 意見と事実を分けて考える
  • できるだけ曖昧な言葉を使わない
  • いき過ぎたネガティブ思考や極端な考えをしていないかチェックする

最後まで読んでいただきありがとうございました!

(参考)
D’Zurilla, T. J., & Goldfried, M. R. (1971). Problem solving and behavior modification. Journal of Abnormal Psychology, 78(1), 107–126.
D’Zurilla, T. J., & Nezu, A. M. (2006). Solving life’s problems ;A 5-step guide to enhanced well-being, Springer Pub Co.

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