先生、大変ニャ
資格試験の勉強が進まないのニャ
勉強ってなかなかやる気が起きないもんね。
よし!勉強のやる気をあげるための方法を勉強しよう!
(猫の資格試験ってなんだろう・・・)
人は誰でも、やる気の出ない時ってありますよね。
無理してモチベーションを上げようと思ってもなかなか上がらずに困ったことがある人も多いのではないでしょうか?
心理学の世界では、モチベーションについての研究がたくさんあります。
今回は、その中でも「期待感」をテーマにした、いくつかの研究を紹介します!
①モチベーション=期待感×価値
いきなりですが、1つ目の研究を紹介します。期待価値理論です!
モチベーションは期待と価値からできている
期待価値理論は、1964年にJ.W.Atkinson(アトキンソン)が提唱しました。
この理論では、モチベーションは、期待感と価値を掛け合わせたものであると言われています。
「期待感」とは、「どのくらいの確率で求める結果が得られるか」です。
たとえば宝くじを買った時に、10,000人に1人しか当たらないようでは、期待感は低いです。逆に、10人に1人当たるような宝くじは期待感が高いと言えるでしょう。
このように、自分が求めているものが、どれぐらい手に入りやすい・手が届きやすいものか、というのが期待感になります。
「価値」とは「得られるものがどのぐらい自分にとって有益かどうか」です。
苦労して手に入れたもの、手に入れようとしているものが、自分にとって全く必要のないものであれば「価値」は低いです。
逆に、自分にとって大切なものであれば、どれだけ時間をかけても、時にはどんなにお金をかけても、手に入れたいですよね。
モチベーションとは、この期待感と価値を掛け合わせて得られるものなのです。
期待価値理論の例
中学受験の問題集を買ってみたけど、なんとなく自分にも解けそうだな!
でもなんのために中学受験ってやるんだろう。別にいい中学に入りたいわけじゃないのに・・・
なんかやる気が出ないなあ・・・
この大学に入れれば、将来なりたい職業に一歩近づけるわ!
でも、私の学力じゃ到底合格できそうにないわ・・・
なんだかやる気が出ないわね・・・
この資格試験に合格すれば、就職活動に有利になるぞ!
しかも、参考書を見た感じ自分にでもできそうだ!
よし!!やる気が出てきたぞ!!
A君は、取り組もうとしている勉強が自分にもできそうだとは思っているけれど、そもそも勉強をする意味がわからない(価値がない)ため、勉強にやる気が入りません。
一方でBさんは、取り組もうとしている大学受験に価値があると信じているけれど、自分の学力じゃ無理だと思っている(期待感がない)ため、同様に勉強にやる気が出ませんでした。
このように、「期待感」と「価値」の一方だけが高くてもモチベーションが上がらないのです。
期待と価値の両方が高くなって初めて、モチベーションが向上するというのが、この理論のポイントです。
コロの場合は、「資格試験に合格できる」っていうイメージと、「資格試験が自分にとって大切なもの」っていうイメージが必要なのだニャ
とりあえず、「大切なもの」っていうのはイメージしやすいけど、「合格できる」っていう期待感はどうやって持てばいいのかニャ?
お!いい質問だね!
期待感についてはこの後もう一つの理論を紹介して詳しくみていくよ!
期待感と価値を向上させよう
期待価値理論で考えると、モチベーションを向上させるためには、「期待感」と「価値」の両方を向上させてあげることが大切です。
まずは、自分が取り組もうとしている課題がどれだけ価値があるものなのかを改めて確認してあげましょう。
価値を向上させる方法は、目的によってバラバラですが、いくつかご紹介します。
価値を向上させたら、同様に期待感を向上させる必要があります。
しかし、期待感を向上させるといっても言葉で言うほど簡単にはいきません。
なぜなら、期待感には2種類あるからです。
そこで、次に期待感にまつわるもう一つの法則を紹介します。
②期待感=「やればできる」×自分ならできる」
「やればできる」結果に対する期待
期待感を高めるということは、「努力すればいい結果が得られる」という気持ちを高めることです。
こう聞くと、単に「やればできる」という気持ちを高めればいいと思うかもしれません。
この「やればできる」という感覚は、結果期待と呼ばれます。
たとえば、野球をやっている少年が、「毎日1時間素振りをすれば試合で活躍できる!」と思うことが、結果期待に当たります。
また、受験勉強中の学生が、「この問題集を完璧に解くことができれば、受験に成功する」と思うことも、同様に結果期待です。
確かに、毎日1時間素振りをすれば、試合で活躍できるかもしれません。
しかし、それと同じくらい大切なのは、実際に自分が毎日欠かさず素振りをできるかどうかです。
「やればできる」という感覚を持つだけではなく、本当に自分がそれを実行できるという感覚の2つがあって初めて、期待感は上がるのです!
「自分ならできる」効力期待
このように、「自分ならできる」という期待を効力期待と呼びます。
言い換えると自分がその行動をやり切るイメージが持てるかどうかです。
先程の野球少年の例では自分が毎日1時間素振りをするイメージができること、受験生の例では自分が問題集を完璧に理解するイメージができることが大切です。
この「自分ならできる」という感覚は効力期待とも呼ばれ、この感覚を持つことは自分のモチベーションをより一層高くしてくれます。
さて、それでは、どのように効力期待を高めればいいのでしょうか?
最後に効力期待を高める方法を紹介します。
「自分ならできる」という気持ちを高める
小さな成功体験を積む
「自分ならできる」という感覚を高めるためには小さな成功体験をたくさん積むことが大切です。
そのためには目標を徐々に大きくするように工夫してみましょう!
いきなり大きな目標を設定しすぎると、難しくて「自分には無理だ」と諦めてしまいます。
マラソンをしたことがない人がいきなり42.195kmフルで走ろうと思っても、なかなか難しいですよね。
たとえ、どんなに簡単な目標であったとしても、その目標を達成することで人はやる気が上がります。
さらに、それをどんどん繰り返していくことで、ますますやる気は上がっていきます。
フルマラソンが目標であっても、まずは、5km走り切ることを目標としてみましょう。
そして、5kmがクリアできたら10km、その次はハーフマラソンに挑戦してみるというように、目標を徐々に大きくしてあげることが大切です。
こうすることで、小さな成功体験を積み重ねながら、「自分ならできる」という感覚を育てることができるのです。
目標を徐々に大きくする
目標が大きい
よし!この問題集を完全に理解しよう!
目標を小さくする
問題集を完全に理解する前に、今週はまず1章を完璧にしよう!
さらに目標を小さくする
千里の道も一歩から!
今日は、最初の2ページを完璧にしよう!!!
みなさんも、階段を登るように一歩ずつ成功体験を積んでいきましょう!
友人や周囲のうまくいっている人の真似をする
また、成功した人の話を見聞きすることでも、「自分ならできる」という感覚は高まります。
たとえば、勉強の成績がよくなった友人の話を聞いてみたり、仕事で成果が出てる同僚の働き方を聞いたりすることが有効でしょう!
あくまでも、「できる」という感覚を強めることが目的なので、自分よりもはるかにレベルの高い・低い人の話を聞いたり、真似したりするのではなく、自分と同じような境遇の人の話を聞くようにしましょう。
誰かの承認を得る
最後に、誰かに認めてもらうというのも立派な方法の一つです。
人は誰かから認めてもらうことで、やる気が出てきます。
たとえば、受験勉強であれば、あえてみんなの前で勉強したり、朝早く学校に行って勉強したりするのも効果的です。
今まで、資格試験の問題集を完全にこなそうと思ってたのニャ
でも問題集が分厚すぎて、やる気が無くなってたのニャ
まずは、最初の章を完璧にすることから始めてみるニャ
うん。大きな目標を掲げるのは大切だけど、それでやる気が下がってしまったら残念だよね!
その調子で頑張って!
まとめ
今回の記事では、モチベーションを向上させる方法について「期待」をテーマに、2つの理論を用いて紹介してきました。
最後まで読んでくださってありがとうございました
最後にもう一度まとめてみましょう!
(参考)
市川 伸一. (2013). 勉強法の科学 -心理学から学習を探る 岩波科学ライブラリー. 岩波書店.
鹿毛 雅治. (2012). モチベーションをまなぶ12の理論 ゼロからわかる「やる気の心理学」入門!. 金剛出版