人は第一印象が大事ってよく言うニャ。
それに、終わりよければすべてよしともいうニャ。
どっちが大切なのニャ
確かに両方ともよく聞くよね。
両方とも、心理学的にはちゃんと背景があるんだ。
今日は人の印象について少し勉強してみようか!
それにしても急にどうしたんだい??
あした大事なデートがあるのニャ
なんとしても成功させたいのニャ
世間では上手に対人関係を築くためのいろいろな方法がいくつも紹介されていますよね。
でも中には、お互いに矛盾するような方法もあって、「どっちを選べばいいかわからない!」なんて思ったことありませんか?
人の印象がどう作られるのか3つの相反する法則を紹介しながらお話ししていきます!
終わりよければすべてよし?
ピークエンドの法則
みなさんは映画を見ていて、最初は退屈していたのに物語が進むにつれてどんどん魅了され、最終的にその映画に大満足した、というような経験はありませんか?
その逆に、途中までは面白かったのにラストシーンでがっかりさせられたため、映画の印象が最悪だった、なんてこともありませんか?
ある出来事に対する最終的な印象は、その出来事の最後に感じた印象の影響を強く受けます。
一方で、映画の途中でも「ハッとさせられる」場面が一つでもあれば、その映画は心に残りやすいものです。
このように、最終的な印象は出来事の途中で感じた強烈な印象に引きずられる傾向もあります。
すなわち、ある出来事に対する最終的な印象は、その出来事が起きている期間に感じた強烈な印象と最後の場面で感じた印象の2つによって決定されます。
これをピークエンドの法則と呼びます。
次の2つの例を見て見ましょう。
この例では、実は2番目のコンサートの方が悪い印象が残ります。
私たちは、出来事の平均的な印象よりも、特定の強いイメージの印象(ピーク)と最後の印象(エンド)に引っ張られやすいのです。
親近効果
関連した内容に「親近効果」があります。
これは、人の印象は最後に与えられた印象で形作られると言うものです。
アメリカの心理学者ノーマン・ヘンリー・アンダーソン氏が1976年に模擬裁判の実験を通して、この効果を提唱しました。
この実験では、裁判官の役割を担った参加者に、「弁護側の参加者」と「検察側の参加者」が①交互に一言ずつ証言もしくは②まとめて証言をしていきます。するとどちらの場合でも、「最後に証言をした側」に有利な結論が下されたのです。
このことから、彼は、後に提示された情報の方が、判断材料になりやすいと指摘しています。
この効果からも分かるとおり「終わりよければすべてよし」ということわざはどうやら間違いではないようです。
それでは、最後の印象さえ良ければそれで良いのでしょうか?
人は第一印象が肝心?
初頭効果
さて、これまでお話ししたのは、「最後の印象」が大切と言うことでした。
しかし、これとは逆に「初頭効果」と言うものもあります。
初頭効果によると、その人に対して初めに抱いた印象が、その人の印象に大きな影響を与えます。
たとえば、初めて会ったときに優しい声をかけてくれた人は、その後多少性格の悪い側面が見えても、相変わらず優しいという印象になりやすいです。
逆に、初めて会ったときに無愛想だった人は、その後親切にされても悪い印象が残りやすいです。
ちなみに初頭効果は社会心理学者のソロモン・アッシュ氏が1946年に提唱しました。
初頭効果によれば、人は第一印象が肝心というのもあながち間違いではないようです。
しかし、これでは先程の「終わりよければすべてよし」理論とは真逆ですね。
私たちは一体どちらを信じれば良いのでしょうか?
第一印象と最後の印象どちらが大切?
さて、ここまで「第一印象が肝心」と「終わりよければ全てよし」、相反する説を紹介してきました。
しかし、実はこの両者は矛盾するものではないのです!
両者の矛盾を説明する研究を紹介していきましょう!
あまり考えないで決断を下す場合は「第一印象」の影響を受けやすい
よくよく考えてから決断をする人は、初頭効果の影響を受けにくいと言われています。
逆に考えることをあまり好まない人は、最初の印象で立ち往生して、後々の印象をシャットアウトしてしまうので第一印象の影響を受けやすいと言われています。
(参考)
Ein-Gar, D., Shiv, B., & Tormala, Z. L. (2012). When Blemishing Leads to Blossoming: The Positive Effect of Negative Information. Journal of Consumer Research, 38(5), 846–859.
関心のある事柄について決定するときは「最後の情報」の影響を受けやすい
一方、私たちは、ある人や物事に対して関心が高い時、最後に与えられた情報の影響を強く受けると言われています。
関心のある事柄の場合は、情報を得ていく中で、その人物や物事に対して徐々に魅力を感じていき、一番最後に強力な情報を与えられることで、その印象がより強まるというわけです。
逆に、関心のない事柄について決定する時は、あまり考えないで決断を下す可能性があるので、前章で見たように初頭効果が強くなるとも言えるでしょう。
(参考)
榊博文(2002),『説得と影響:交渉のための社会心理学』,ブレーン出版.
「第一印象が肝心」と「終わりよければすべてよし」は矛盾していない!
これまで見てきたように、ピークエンドの法則や親近効果と初頭効果は、その受け手の態度や関心によって出現しやすさが変わってくることがわかりました。
特に相手の関心度に応じて両者の効果が変わってくることは覚えておいて損はないでしょう!
日常生活に活かすには?
相手の関心度に注目する【ビジネス編】
これまで説明してきた通り、相手が自分に関心があるかどうかで、印象の作られ方は異なります。
たとえば、ビジネスの商談や、顧客へ商品を販売するシーンをイメージしてみましょう。
その商談が「こちらが無理をしてお願いして取り付けたもの」だったり、「初めてのお客様であまり興味がなさそう」にしていたら、相手にとって大切な情報をはじめに持ってくるような工夫をしましょう。
一方で、相手が「こちらの提案に興味があって話を聞いてみたかった」というような場合は、相手にとって重要な情報を最後に持ってきて、インパクトを残すようにしてみましょう。
このように、相手の関心度に合わせて自分や自社の商品を売り込んでいきましょう。
しかし、現実には相手の関心度が読めないことも多いでしょう。
ビジネスのシーンならまだしも、たとえば知り合って間もない異性とデートに行くような場面では、相手について全く知らないこともあるでしょう。
ここで役に立つのが「ピーク・エンドの法則」です。
力の入れどころと去り際に注意する【人間関係・恋愛編】
これまでみてきた通り、人の印象は、「初頭効果」や「親近効果」の影響を強く受けやすいということがわかりました。
ただし、この2つだけではなく「ピークエンドの法則」も忘れてはいけません。
相手が自分に関心があるかどうかわからなかったとしても、「ピーク」を作ることと「エンド(去り際)」を意識しましょう。
とはいえピークを意識的に作ることは難しいと思います。
ここでは「常に100%の力を出さなくてもいい!」と気楽に構えることが大切でしょう。
たとえば、知り合って間もない異性とデートに行く場面を想像しましょう。
デート中に1回でも「ピーク」がくればいいと気楽に構えましょう。
何がなんでも成功させなければ!と思うと、デートを楽しむことができませんし、相手にもそれが伝わってしまうかもしれません。
別れ際に「いい人だった」と思ってもらえるように工夫しましょう。
笑顔で別れたり、お礼を言ったり、「エンド」でいい印象が残るようにしましょう。
まとめ 出だしに失敗しても諦めないことが大切
今回の記事では、3つの法則を紹介しながら、人間関係における「印象」の作られ方について説明してきました。印象を形成するのに大切なのは、「第一印象」、「ピークの瞬間」、「最後の印象」でした。
裏を返すと、仮に第一印象で失敗したとしても、「ピーク」や「最後の印象」でやり直すことができます。
逆に、「最後の印象」がよくなくても、それ以前の印象次第では、相手はあなたに好印象を持ってくれている可能性もあります。
ぜひ、「出だしでつまづいたからもうダメだ」と諦めるのではなく、ポジティブに捉えてみましょう。
最後に、今回の記事のポイントをまとめておきます。
最後まで読んでくださりありがとうございました。