うちの子が最近、勉強しなくて困ってるのよ。
甘やかしすぎがいけないのかしらね・・・
今度から少し厳しくしようと思うのだけどどうかしら。
確かに甘やかし過ぎは良くないね。
でも、しつけが厳しくなりすぎないように注意してね。
特に「アメとムチ」には要注意だよ!
子どもに勉強をさせるときや、会社で部下に仕事を割り振るときなど、人をやる気にするための方法として、「アメとムチ」は昔からよく使われてきました。
「アメとムチ」は効果的な方法だと言われていますが、そのデメリットもいくつか指摘されています。
今日は、そんな「アメとムチ」について勉強していきましょう!
ポイントは「ABC」です!
アメとムチで人はやる気になる??
人の行動はABCの3ステップで考える!
私たちは、日常生活で数えきれないほどの行動をしています。
たとえば朝起きてから学校・会社に行くまでにも、パッと思いつくだけで、顔を洗う、歯を磨く、ご飯を食べる、着替える、テレビのニュースを見る、なども数多くの行動をします。
それでは一つ一つの行動を私たちは意識して行っているでしょうか?
無意識的に習慣で行っているものも多いのではないでしょうか。
無意識に行っているような行動でも、実は何かしらの「きっかけ」があります。
たとえば、「朝ごはんを食べる」という行動には、「お腹がすく」というきっかけがあります。
「歯を磨く」という行動であれば、「口内の違和感」だったり「虫歯にならないように気をつける」と言ったきっかけがあります。
そして、行動の後には「結果」がついてきます。
お腹が空いてご飯を食べた人は「満腹・満足」と言った結果になります。
このように、我々の行動は「きっかけ」と「結果」とセットで考えることができます。
ある行動を「きっかけ(A)」と「行動(B)」と「結果(C)」の3つのまとまりで考えることを、専門的には「三項随伴性(さんこうずいはんせい)」や「応用行動分析(おうようこうどうぶんせき)」と呼んだりします。
ちなみに「きっかけ(Antecedent Stimulus)」、「行動(Behavior)」、「結果(Consequent Stimulus)」の頭文字をとってABC分析と呼ぶこともあります。
人の行動はどう変わるのか
人の行動について、「きっかけ」と「その結果」と合わせて3つのまとまりで考えることができました。
ここで重要なことは、「結果」次第で人の行動が変化するということです。
先程の「朝ごはん」の例を考えてみましょう。
朝ごはんにしっかり「ご飯」を食べたら、お腹いっぱいで気持ちよく学校・仕事に向かうことができた場合、次の日以降も「ご飯を食べる」という行動は、「増加」します。
逆に、朝ごはんを、簡単に「ヨーグルト」で済ませた結果、お腹がすいて集中できなかった場合、次の日からは「ヨーグルト」を食べるという行動は「減少」します
このように、結果次第で、人の行動は変化していくものなのです。
「アメとムチ」を使った子育てやモチベーション管理もこの原則を基本としています。
アメとムチの基本
ここまで説明したら後は非常にシンプルです。
たとえば、子どもがお手伝いをした時にお小遣いをあげると、子どもは喜び、次の日からお手伝いをする行動が、「増加」します。
逆に、お手伝いをしなかった時に叱られると、子どもは悲しみや不快感を感じ、次の日から「お手伝いをしない」という行動が、「減少」します。
「お手伝いをしない」という行動が減るということは、結果的に「お手伝いをする」という行動が増えるのと同じことです。
このように、「アメとムチ」を使うと子どもの望ましい行動を増やして、望ましくない行動を減らすことができます。
言われるまでもなく、この方法をとってきた方もたくさんいらっしゃるでしょう。
しかし、タイトルにも記載してあるとおり、「アメとムチ」はいいことばかりではありません。
実は、隠れた副作用があるのです。
(参考)
奥田健次. (2012) メリットの法則 行動分析学・実践編. 集英社新書.
アメとムチの副作用!
確かに、「アメとムチ」を巧みに扱うことができれば、その人をやる気にさせることができるかもしれません。ただし、ムチには先ほども書いた通り、大きな副作用があるのです!
ムチに隠れた副作用① 積極性を失ってしまう
当然のことですが、人は誰しも嫌なことは避けようとします。
「叱られないように」、「罰を受けないように」と思っているといつの間にか行動する回数自体を減らしてしまいます。
特に、何が正しくて何が間違っているのかがまだ理解しきれていない子どもの場合は、叱られることを避けるために、積極的に行動を起こすことが少なくなってしまいます。
このように、ムチには積極性を失うという副作用があります。
ムチに隠れた副作用② ネガティブになってしまう
また、叱られたり、罰を受けることが続いてくると、子どもは「自分はダメな人間だ」や「親の期待に応えられない」のようにネガティブな考えをするようになってしまいます。
この状況が変わらないままだと、人に対する恐怖心が芽生えてしまうなんてこともあり得ます。
ムチに隠れた副作用③ 続けるのが難しい
たとえば、宿題を忘れてしまったなど、悪いことをした子に対して「怒鳴りつける」というムチを与えたとしましょう。一時的には効果があると思います。
しかし、その子が別の日に、宿題を忘れた時、毎回「怒鳴りつける」ことはできるでしょうか?
なかなか難しいのではないでしょうか?
ムチを使った方法は続けるのが難しいのです。
仮にできたとしても、結果的に「叱られないと宿題をしない」子どもに育ってしまうかもしれません。
叱るだけのムチは必要ない
アメとムチならアメだけでいい
実は、「アメとムチ」のしつけでは、「ムチ」は使う必要がないとも言われています。
その理由は単純で、「アメがない」というのが十分「ムチ」の代わりになるからです。
たとえば、「お手伝いをしたらご褒美にお小遣いをあげる」という「アメ」を使った子育てであれば、「お手伝いをしなかった時にお小遣いをあげない」というだけでも十分「ムチ」の代わりになります。
(※専門的には「アメがない」=「ムチ」ではないですが、話を簡単にするために、この書き方をしています。)
とはいえ、毎回毎回、「アメ=ご褒美」を用意するのって、大変ですよね!
「ご褒美」の上手な使い方は、別の記事に詳しく記載していますので参考にしてください。
叱り方も気をつけよう
単に叱るような「ムチ」を与えるだけでは、短期的には効果があるかもしれませんが、実際は百害あって一利なしです。
そこで、「叱り方」にも工夫が必要です。
たとえば、叱る際には感情に任せて怒鳴るのではなく、その理由をちゃんと説明することが大切です。
子どもが、どうして叱られたのかを理解するような声かけを実行しましょう。
まとめ
この記事では、「アメとムチ」という教育法について、「ABC分析」という方法を使って解説してきました。
アメとムチは確かに効果があるけれど、その副作用には注意することが大事だということがお分かりいただけたでしょうか。
それでは今日はここまで!
最後まで読んでくださりありがとうございます!